損失解析が収束しない場合

デフォルト設定での損失解析の収束については、必ずしも保証していません。
収束しない場合は以下の項目を確認してください。

  • 理想解析で収束することを確認する

  • 詳細解析スイッチ素子(Detail Nch Si/SiC-FETDetail Nch GaN-FETなど)のパラメータを確認する
    特に、Saturation Gate Voltageはゲートドライブパルスの振幅と同じ値に設定してください。
    パラメータの設定に関してはそれぞれの素子ページを参照してください。

  • 十分に定常状態となっている状態で損失解析が行われていることを確認する
    事前にTransient解析を行い十分に定常状態となる時間を確認し、Start Time に確認した時間を設定してください。

  • Toleranceの値を大きくする
    損失解析の実行中にヒストリーウィンドウStorage Rateが減少傾向(初期は増減するが解析を続けると次第に減少し始める)にあるかを確認し様子をみます。
    Base Cycleが数十回経過しても収束しない、あるいは大きな値で収束してしまった場合は解析を中断し、表示されたStorage Rateを確認します。
    Tolerance の値を、Storage Rateより大きい値に設定します。(Toleranceの値は5以下を推奨します。)

  • 負荷が電流源または電圧源の場合、その電力を損失に設定しているか確認する
    電圧源と電流源は損失として解析されないため、負荷として使用したい場合には、明示的に損失解析に組み入れる必要があります。
    設定例はサンプルの電圧源・電流源を負荷としたい場合をご覧ください。

  • デッドタイムが適切に設定されているかを確認する

    上記の対処法を試しても、回路次第では収束しない場合があります。
    その場合は、損失解析を中断してその結果で評価するか、損失解析に影響が出ないように回路構成やパラメータ値を変更して改善を図る必要があります。

  • ピンチオフ電圧の条件を満たしているかを確認する
    ピンチオフ電圧の条件を満たしていない場合、損失が大きくなることがあります。以下の条件を満たすように値を設定してください。
    On Resistance * Drain Current at Rise/Fall Time < Saturation Gate Voltage - Threshold Voltage