メイン周波数
メイン周波数とは解析の基準となる最も重要な周波数です。
メイン周波数の逆数はメイン周期と呼ばれます。
メイン周波数は一つの回路ファイルに一つ設定され、主に以下の用途で用いられます。
- Transient解析におけるサンプリング区間の決定
- FRA解析のサンプリング区間の決定
- Discrete素子の実行周期の決定
- スイッチング周波数の決定
- スクリプトの実行周波数の決定
詳細は、メイン周波数・メイン周期の特徴で述べます。
スイッチング周波数やスクリプトの実行周波数は、サブ周波数などを用いて明示的に指定しない限りメイン周波数が設定されます。
回路の解析周期・ソルバについて
回路の計算刻み幅はこのメイン周波数と関係なく、可変ステップにて動作します。 詳細はソルバを参照してください。
メイン周波数の確認・変更
現在のメイン周波数は コンフィグエディタ
の Frequency
から確認・変更を行うことができます。
メイン周波数・メイン周期の特徴
サイディームではメイン周期を一つの区切り区間として解析し、以下の重要な特徴があります。
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Transient解析における出力波形のサンプリング区間の決定
Transient解析は、メイン周期内の演算結果から代表点を生成し、グラフに表示波形を生成します。
代表点は出力変数のモードによって決定されます(出力変数を参照ください)。 -
FRA解析のサンプリング区間の決定
FRA解析はメイン周期の代表点を用いて行います。このため、FRAの出力分解能はメイン周期に依存します。 -
Discrete素子の実行周期の決定
Operator(Discrete)
、Source(Discrete)
、Motor
素子などの離散系素子はメイン周期の初めでサンプルホールドされ、その周期内では一定の出力となる動作をし、次の周期で値が更新されます。
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スイッチング周波数の決定
Pulse
やSaw Tooth
などの周期的に動作する素子は、特に指定しない限りメイン周期を1サイクルとして動作します。ほかの周波数を設定する場合は、サブ周波数に登録します。
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スクリプトの実行周波数の決定
スクリプトなどの周期的に動作する要素は、特に指定しない限りメイン周期を1サイクルとして動作します。ほかの周波数を設定する場合は、特定の周波数を設定するか、サブ周波数を登録します。 -
回路定数の更新タイミング
回路定数(R、L、Cの値など回路を構成する素子定数)をメイン周期内の途中で変化させた場合(例えばスクリプトと サブ周波数 の組み合わせで setparam関数 を使用する)、変化させた値は保持され、次のメイン周期開始時点で回路計算に反映されます。ただし、メイン周期など時間に関係するパラメータ以外の更新は変更時に直ちに反映されます。 -
解析の終了時間の決定
解析の終了時間をメイン周期よりも短い時間や、メイン周期の整数倍の時間以外を設定した場合でも解析はそのメイン周期の最後まで行われます。
メイン周期の値の決め方
回路ごとのメイン周期の値の決め方はおよそ以下の通りです。
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スイッチング電源の場合
スイッチング電源では、スイッチング周波数をメイン周波数に設定します。 -
スイッチングを伴わない回路の場合
メイン周期が回路内の時定数や交流電流などの素子周期より十分短くなるようにメイン周波数を設定します。 -
非線形特性が入る場合
Solar Battery
やMotor
素子のように非線形素子を用いる場合、メイン周波数が非線形特性の応答時間より十分短くなるように設定します。
この場合、スイッチング周波数はサブ周波数を用いて設定される場合が多いです。
Tips
回路内に低周波素子が入っている場合は低周波素子の低周波周波数よりも十分大きな値をメイン周波数に設定してください。
詳細は低周波周波数を参照してください。
スクリプトでの更新について
メイン周波数やメイン周期はスクリプトにより解析中に任意のタイミングで変更することができます。
ただし、実際に変更が反映されるタイミングは変更直後のメイン周期終了時となります。
したがって、メイン周波数やメイン周期を変更するスクリプト(Postチェック有り)の制御周波数は、メイン周波数を選択することを推奨します。
スクリプトによるメイン周波数やメイン周期の変更方法は、スクリプト言語文法や機能関数の使用方法:周波数の参照・設定を参照してください。
スクリプトの制御周波数の設定方法については、スクリプトファイルの設定を参照してください。