チュートリアル:周波数特性解析編

コンバータの周波数特性解析

このチュートリアルでは、降圧型コンバータの周波数特性を取得する方法を例に、サイディームでの周波数特性解析の手順について説明します。

周波数特性解析を行う場合、どのような特性を取得したいかによって、入力(From)と出力(To)を決定します。

ここでは、以下の2通りの周波数特性を取得する場合について考えます。

1. 入力電圧 - 出力電圧特性

サイディームで周波数特性解析を行う場合、AC Sweep素子を追加する必要があります。

次の手順で、サンプルの降圧型DCDCコンバータAC Sweep素子を追加して降圧型コンバータの周波数特性解析を行ってみましょう。

  1. 降圧型コンバータの入力電圧にAC Sweep素子を直列に追加します。
    fig1

  2. まずは、Transient解析を行い定常状態となる時間を確認します。

    Tips

    周波数特性解析は、回路が定常状態となった状態で行います。

  3. 次にFRAモードを選択し、FRA Start timeに確認済みの定常状態となる時間を設定します。
    fig2

  4. つづいて、AC Sweepには先ほど追加したAC Sweep素子のシンボル名を指定します。

  5. FromAC Sweepの電圧を指定し、Toは出力電圧Rを指定します。

  6. Minimum Frequencyはデフォルト値のままで、Maximum Frequencyはメイン周期の約1/4程度で20kに変更します。

    Tips

    最大周波数はメイン周波数の約1/4程度が解析の限度になります。
    最小周波数は十分に小さい値に設定してください。

  7. 解析を実行すると図のような結果が得られます。
    fig3   

    Example

    上手く解析結果が得られない場合はサンプルを参照してください。
    FraTutorial/BuckConvFraVinToVout.scicir


2. 時比率 - 出力電圧特性

時比率を入力(From)とする場合、AC Sweep素子は電圧信号を発生するので、電圧を時比率に変換するPWM回路を追加しSwitchをドライブするように変更します。

Example

FraTutorial/BuckConvFraDutyToVout.scicir

fig1

  1. PWM SwitchSwitchに置き換えます。

  2. Saw ToothComparatorで、電圧を時比率に変換するPWM回路を追加してSwitchをドライブするように変更します。更にAC Sweep素子も追加します。
    fig2

  3. 入力電圧 - 出力電圧特性と同様にTransient解析で定常状態となる時間を確認します。

  4. FromAC Sweepの電圧を指定し、Toは出力電圧を指定します。
    その他は、入力電圧 - 出力電圧特性と同様に設定します。

    fig3

  5. 解析を実行すると図のような結果が得られます。
    fig4


このチュートリアルでは、周波数特性解析の基本的な手順について説明しました。

サンプル回路では、アナログ/デジタルLPFの周波数特性解析や、一巡周波数特性解析などを紹介していますので、是非ご活用ください。

サンプル回路:周波数特性解析