コア損失解析対象素子

説明

コア損失解析の対象となる素子は次の素子となります。

インダクタンス
相互変圧器

損失解析機能が追加されたことでインダクタンス相互変圧器に損失解析用のパラメータが追加されました。

Note

コア損失はコアメーカーから提供される損失データシートを元にして解析されるので、データシートは必須となります。
SCALEでは、損失解析実行中にコアの磁束密度変化を計算し、それをデータシートに照らし合わせてコア損失を求める仕様となっております。

Note

現在の計算モデルは、以下の制限がありますのでご注意ください。

  • 直流重畳特性や飽和特性には対応していません。
  • 銅損は設定された巻き線抵抗にもとづいて、通常の抵抗損失として計算されます。
  • コア損失はそれ以外の回路損失とは別に独立して計算されるため、コア損失が回路の電圧・電流に与える影響は計算できません。

基本パラメータ

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基本パラメータはそれぞれの素子ヘルプと共通となります。

  • Value: 巻線インダクタンス
    巻線のインダクタンスを設定してください。

  • ESR:巻線抵抗
    巻線の等価抵抗です。これが直接、銅損となります。

損失解析用パラメータ

損失解析用のパラメータを設定するパラメータダイアログとして、CORELOSSが追加されました。

CORELOSS画面はIndoctorであればCoreボタンから、変圧器であれば変圧器生成後のCoreの中のLossから開くことができます。

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CORELOSSの設定パラメータ

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CoreLossを設定するパラメータは以下となります。
なお、Indoctor、変圧器のCoreCORELOSSのパラメータダイアログは同じとなっております。

パラメーター 内容 単位 入力範囲 説明
Cycle Device 周期素子 - - 周期素子とは、コアの磁束密度の周期を決定する素子のことであり、そのシンボルを設定します。
周期素子には、コンバータ、FRD、交流電圧源、交流電流源、波形発生器があります。
コンバータのシンボルには*CVTを設定します。
FRDの場合、FRDに変圧器を登録する必要はありませんFRDへの登録はシステムによって入力不可としております。
Nturn 巻線の巻数 - Value > 0 巻線の巻線は変圧器生成時に接続したWinding-Lの数に合わせてスペース区切りで入力してください。
Length 実効磁路長 メートル Value > 0 製品仕様から記載してください。
Area 実効断面積 平方メートル Value > 0 製品仕様から記載してください。
Frequency 磁束密度(Bm)-単位体積あたりのコア損失(Pcv)特性における周波数 Hz - このパラメータは、データシートに記載されているBm-Pcvのグラフ特性から読み取り設定してください。
複数ある場合は、スペースで区切りで記載してください。
Bm-Pcv 磁束密度(Bm)-単位体積あたりのコア損失(Pcv)特性 Bm:T
Pcv:W/m^3
- 最初にBmの値、続いてFrequencyで設定した周波数に対するPcv値をスペースで区切って設定します。
テーブルに記載されていない部分の特性はBm、周波数とも補間、補外によって計算されます。

複数巻線がある変圧器のNturn設定方法

複数の巻線があるトランスの場合、巻数Nturnは巻線の数だけ設定する必要があります。
巻数の設定はトランスの左上の巻線から順にスペース区切りで記載してください。 fig

Bm-Pcv特性について

Bm-Pcv特性はデータシートから読み取ります。
なお、テーブルに記載されていない部分の特性はBm、周波数とも補間、補外によって計算されます。データシートから大幅に外れている場合、誤差が大きくなる点にご注意ください。

設定方法の例は以下となります。
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磁束密度を出力変数に追加する

ver1.5.8でコア損失解析対象素子は、磁束密度(Bm)を出力変数に追加することができるようになりました。
磁束密度を出力変数に追加するには、出力変数ダイアログでTypeBmに設定します。
出力変数の設定手順については出力変数を参照してください。
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読み込み機能・保存機能

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パラメータダイアログのReadSaveボタンは
磁束密度(Bm)-単位体積あたりのコア損失(Pcv)特性の読み込み、保存機能となります。

Saveでは、FrequencyBm-Pcvのパラメータをファイルとして保存することができます。

ReadではSaveで出力した特性ファイルを読み込み、パラメータとして反映することができます。