ユニポーラ方式 DC-ACインバータのPWM制御方法 その2

投稿者: 中村 創一郎 投稿日:

DC-ACインバータについて、バイポーラ方式、ユニポーラ方式その1に続いてユニポーラ方式その2を説明していきます。
ユニポーラ方式にもいろいろと実現方法がありまして、工夫次第でさらにスイッチングを減らすことが可能です。

さて、ユニポーラ方式は、マルチレベルインバータと呼ばれる方式の一つで、2レベルインバータとも呼ばれます。このほかにも、一連の記事では、DC-ACインバータについて、さまざまな方式を説明していきます。

その他の方式については以下のリンクにまとまっていますので、ご覧ください。
https://www.smartenergy.co.jp/scideam_blog/tag/dcac/

DC-ACインバータの目的

DC-ACインバータは直流を交流にすることが目的です。

ここではサイン波を出力する単相のインバータを主に扱いますが、その他にも例えば、大容量の電力を扱う、三相インバータや、車用の12Vdcを100Vacに変換するインバータで多くみられる矩形波を出力するものなどもあります。

DC-ACインバータ回路

回路は以下の通りです。
ここでは単相2線式のDC-ACインバータを対象とします。

4つのスイッチを高速に駆動し、出力側のLCによって平滑化することで、サイン波を出力させます。
このスイッチの駆動方法が、それぞれで異なります。バイポーラ方式とも比較してみるとその違いをよく理解できると思います。

スイッチのPWM駆動方法

スイッチのキャリア信号と、サイン波を出力させるための制御信号波を以下に示します。

2つのキャリア信号に対して、制御信号を用いてQ1、Q2のゲート信号を作りだします。
それに加えて、制御信号が正か負かに応じて、Q3、Q4のゲートを制御します。

このPWM動作によってa, b間に発生する電圧を、LCで平滑化することで、出力にサイン波を得ます。
この時、a, b間にかかる電圧はEであり、+E, 0あるいは0, -Eを交互に繰り返します。

正の半周期はS1がON状態を継続し、一方負の半周期はS1’がON状態を継続する。
そして、S2とS2’は頻繁にON, OFFを繰り返して所用の電圧が得るのがここで取り上げるユニポーラ方式の特徴である。

インバータ制御技術と実践 p26

  注:ここで、S1, S1’, S2, S2’は、本記事ではそれぞれ、Q4, Q3, Q1, Q2

この時のシミュレーション波形は以下の様になります。

ユニポーラ方式のメリット・デメリット

メリット

  • バイポーラ方式と比較すると、Vabが半分になるため、同様のスイッチング周波数ではLリップルを小さくすることができる。
    同様に、スイッチ素子の耐圧も半分となる。

デメリット

  • スイッチ駆動がバイポーラ方式と比較すると複雑になる。

PWM駆動のシミュレーション

アナログ回路での駆動

アナログ回路モデル、スイッチの駆動方法については、是非モデルをダウンロードしてご確認ください。

ゲート駆動方法は、多少入り組んでいますが、これにより得たい駆動パルスを出力することができます。

ここで、回路モデル中、VS1などの絶縁アンプは、ハイサイドスイッチを同一信号で駆動するために便宜上使用しています。

シミュレーション結果は以下の通りです。
キャリア信号と制御信号、Vabに注意して、出力電圧を確認してください。

シミュレーション結果動画

シミュレーションは、上部にある開始ボタンをクリックすることで、実行可能です。
Waveformモードにし、50msec実行した結果を確認しましょう。

スイッチングキャリアの設定方法などは、別途チュートリアルをご覧ください。
https://www.smartenergy.co.jp/support/ScideamArticles/help/tutorial/tutorial_circuit/tutorial_circuit/

デジタル制御による駆動

サイディームのスクリプト機能を使った、デジタル制御による駆動を以下に示します。

主回路は、スイッチ素子にSwitch、ゲート駆動にPulseという素子を使用しています。
このPulse素子は、PWMの時比率を直接入力できるイメージで使用できます。

そのため、アナログ回路の際に使用した制御信号は、単純に時比率という形でスクリプトから、Switch素子に指定しています。

以下、回路図です。

SineTarget1 = 1 * sin(50*2*PI*t);


D1 = SineTarget1;
if(SineTarget1 < 0) D1 = SineTarget1 + 1;
if(D1 > 1) D1 = 1;

if(SineTarget1 > 0){
D2 = 0;
}
else{
D2 = 1;
}

setoutvar(D1);
setoutvar(D2);

//三角波に変換
D10 = 0.5 - 0.5 * D1;
D11 = 0.5 + 0.5 * D1;

setparam("P1","T0",D10);
setparam("P1","T1",D11);
setparam("P2","T0",D10);
setparam("P2","T1",D11);
setparam("P3","T0",D2);
setparam("P4","T0",D2);

回路も制御も非常にスッキリとした形でモデリングできました。

アナログ回路で駆動することに目的がなければ、シミュレータとしても高速に解析することが可能であるため、この方法をお勧めいたします。

詳しい使用方法は、チュートリアルをご覧ください。
https://www.smartenergy.co.jp/support/ScideamArticles/help/tutorial/tutorial_digital_palette/tutorial_digital_palette/

まとめ

  • ユニポーラ方式におけるPWM制御の方法について説明しました。
  • アナログ回路における実現方法をシミュレーションモデルで説明しました。
  • デジタル回路における実現方法をシミュレーションモデルで説明しました。

こちらの記事で使用した回路モデルは、本記事からダウンロード可能です。

シミュレーションモデルについて

本モデルは、電源パワエレ向け高速回路シミュレータScideam(サイディーム)で動作可能です。
本記事のモデルは以下からダウンロードしてください。

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参考文献

[1]西田克美 編, “インバータ制御技術と実践”, 科学情報出版 (2016年)


中村 創一郎

中村 創一郎

株式会社スマートエナジー研究所代表取締役 博士(工学)
モデルベース開発やシステムズエンジニアリングを用いて、 系統連系インバータや双方向コンバーターなどのデジタル制御電源開発を得意とする、エンジニア兼コンサルタント兼経営者

日々、シミュレーションの魅力を伝えられないか奮闘中

実績
大手電機メーカーへの開発支援、モデルベース支援
系統連系インバータの開発・認証取得支援
自動車メーカーへのシステムズエンジニアリング支援
宇宙航空研究開発機構との共同研究
など

会社創業以来10年以上、デジタル制御電源とモデルベース開発に従事