LLCコンバータの損失解析
Info
必要オプション:Power Palette
解析対象回路
ソフトスイッチングの確認
共振型LLCコンバータはCr
とLr
によって発生する共振を利用して、寄生容量にチャージされた電荷を素早く引き抜くことで
ドレインソース電圧をゼロにした状態でスイッチをオンすることができます。
このようなスイッチング方法をソフトスイッチング
または電圧が先にゼロになるのでZVS(Zero Voltage Switching)
と呼ばれ、スイッチング損失を発生させずにスイッチングを行うことが出来ます。
実際にZVS
の様子をシミュレーションで確認してみましょう。
シミュレーションは下記の設定で行います。
解析は開始時間を設定し、定常状態までを理想波形解析で、確認したい区間では詳細波形解析で解析することで高速化を計っ計っております。
- シミュレーションモード:Waveform
- 終了時間:5msec
- Waveform開始時間:4.98msec
- Detail Switch:ON
解析の結果次のようになります。
スイッチング波形を確認すると、ターンオン時にZVS
が達成されている様子が確認出来ます。
またLLCコンバータでは通常ターンオフ時にはZVS
が達成出来ず、ターンオフ損失が発生してしまいます。
そちらの様子も確認してみてください。
損失解析
波形の確認の次は損失解析を行います。
シミュレーションは下記のように設定して実行してください。
- シミュレーションモード:Power
- スイッチモード:Detail
- 開始時間:10msec(回路が定常状態となる時間)
- Tolerance:1
解析結果は次のようになります。
負荷抵抗R
で発生した出力はコンバータの出力電力を、レートは回路の効率となります。
R
のチェックを外すことで、損失成分の割合を棒グラフで確認することができます。
また損失成分は素子の内部の分布も確認できます。
ツリーを開いてスイッチの損失を確認してみましょう。
詳細波形解析で確認した通り、ZVS
によってターンオン損失は発生しておらず、
ZVS
出来ていなかったターンオフでは損失が発生している様子が確認できます。